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調査・報告

HoT-JeTリレー:北海道・東北の登録日本語教員養成機関のご紹介(東日本国際大学)

  • HoT-JeTリレー
  • 東北
  • 福島県

「HoT-JeTリレー」は、北海道・東北の教員養成の現場から教育現場までさまざまな現場を紹介してもらう企画です。今回は、北海道・東北の登録日本語教員養成機関のみなさんに、その課程の特色や工夫についてご紹介いただきます。この記事が、養成機関同士の知見を深める場となり、また、日本語教育の未来を担う人材の育成に役立つ一助となれば幸いです。各機関の記事を、ぜひご一読ください。なお、この記事は掲載時点の情報が掲載されています。最新の情報は各機関にお尋ねください。
 

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設置の背景
現在、経済学系と福祉系の2学部からなる東日本国際大学(福島県いわき市)は、短大時代の1985年から同敷地内に留学生別科(現在入学定員80名)を有し、国際色豊かなキャンパスとなっています。
しかし、2011年の震災後、留学生の出身国が従来の漢字圏中心から非漢字圏へと多様化することで、これまでの蓄積だけでは日本語能力を十分に伸ばせないという課題が生じました。2014年頃から別科と学部の接続改善、JFスタンダードに基づく教科書の採用、年2回の合宿集中講義の開設など組織的な対応を開始したのですが、そのなかで、留学生から「日本語教員になりたいがここで学べないか」という要望や、国内学生からも国際大学固有の経験をさらに深めたいとの声が聞こえてきました。そこで、学内の日本語教育関連(別科)、比較言語学、言語学史、国際(開発)教育、その他関連分野担当教員数名のあいだで調整を進め、3年程度の準備期間(途中から2018年3月の「日本語教育人材の養成・研修の在り方について」に準拠)を経て、2020年度に公務員志望や教職、福祉関連職と合わせて学べる副専攻として日本語教員養成課程(副専攻)を開始することとなりました。

プログラムの特徴
本課程の特徴は、学内に留学生が多く、別科も同じ建物内で行われる環境を活かし、国際理解や異文化への感受性開発に重点を置いたカリキュラムにあります。副専攻でもあり、「入口は広く、出口で深く」という設計思想のもと、既存の国際的な感受性を育てる科目群を最大限活用しつつ、言語学系・言語教育系の科目を追加し、徐々に専門性が高まるように構成しています。プログラムには毎年10名前後が新規に登録し、2年間から3年間での履修を想定している副専攻課程のなかで、実践研修段階まで残るのは3~5名程度ですが、そのうち1~2名が卒業時に日本語教育分野に就職しています。日常的に存在する留学生との接点に加え、教壇実習に至るまでに、留学生向けの集中講義でSA的サポートに入るなど、段階的なプロセスを設定していることもあり、修了生は就職面接で「新卒とは思えないほど慣れている」との評価を受けており、カリキュラムの意図に合致した学修成果が上がっているといえます。

申請に際して
本学は、2016~2019年度に大学教育再生加速プログラムテーマV(2016~2019)に採択され、現在大学に求められている教学マネジメントの実装を進めました。その際、ロジックモデルを意識しつつバックワードデザインによるディプロマポリシーの各授業への埋め込みを行うために、到達目標をCan-doで書き直し、全授業科目へ分割し埋込みをしていくCEFR的な発想を、カナダで開発されたICEモデルを利用しつつ、言語教育とは無関係な科目も含め全学で実施したのでした。このことが日本語教員養成課程の必須の教育内容をカリキュラムに展開し、アセスメント手法を考慮する際にも役立ちました。
ただし申請に際して、実践研修については、学内の副専攻という位置づけから当初通年科目として設定し年間を通じて徐々に教壇実習へと至るように設計・運用していたのですが、教壇実習までに必須の内容が身についていることを示すために後期(秋学期)の科目として変更し、これまで前段階として一体で実施していたSA的な実習活動の一部は別の授業に組み込む必要がありました。

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(高等教育研究開発センター 関沢和泉)
 

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