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調査・報告

HoT-JeTリレー:北海道・東北の登録日本語教員養成機関のご紹介(北星学園大学)

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「HoT-JeTリレー」は、北海道・東北の教員養成の現場から教育現場までさまざまな現場を紹介してもらう企画です。今回は、北海道・東北の登録日本語教員養成機関のみなさんに、その課程の特色や工夫についてご紹介いただきます。この記事が、養成機関同士の知見を深める場となり、また、日本語教育の未来を担う人材の育成に役立つ一助となれば幸いです。各機関の記事を、ぜひご一読ください。なお、この記事は掲載時点の情報が掲載されています。最新の情報は各機関にお尋ねください。
 

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北星学園大学文学部の「日本語教員養成プログラム」について

設置の背景
 明治期にキリスト教宣教師によって創立された学校を源流にもつ北星学園大学は、建学以来、「人間性」「社会性」「国際性」を基本理念としています。2026年4月に本学文学部に開設されることになった「日本語教員養成プログラム」は、本学の伝統を引き継ぐ新たな教育プログラムとして計画されました。

プログラムの特色
 本プログラムの特色の一つは、実践研修が本学のある札幌市から直線距離で300㎞離れた中標津町(人口2.2万人)の「ひがし北海道日本語学校」で行われる点にあります。同校を運営する学校法人は根室の振興局および教育局と連携協定を締結していて、また、同校在校生には中標津町から就学支援金が支給されています。在校生は午前あるいは午後に同校で日本語の授業を受け、授業のない時間帯には町内の企業で就労したり、地域住民とさまざまな形で交流したりしています。中標津町にとって同校の生徒は地域産業の支えとなっており、町に活力を与える貴重な存在として歓迎されています。

 本学の養成プログラムは、実践研修に限らず、受講生が日本語教員として教室の中で日本語を指導している自己をイメージするだけでなく、地域に住む外国人と日本人住民の橋渡し役となり、両者が共生していくことをサポートするコーディネータ役として活動をしている将来像を描きながら学べるように設計されています。同時に、大学としても、地方の活性化や共生社会の実現という課題に対しどのように向き合い貢献することができるのか、そうした大きな社会的試みとして日本語教員養成プログラムを位置付けています。

プログラムの課程
 本学の養成プログラムでは、以下のような科目群を文学部2学科の学生に提供します。

科目担当者は全員が日本語学、言語学、言語教育学、異文化コミュニケーション学等を専門領域とする本学の専任教員で、日本語教育および日本語学関連の新設科目を除いては、既存科目をそのまま養成プログラムに取り入れた形となっています。

 これまで本学には養成課程が存在しなかったため、26年4月の新規開講時にどれだけの新入生がこのプログラムに興味を示し履修するのか、3年目に実践研修(定員10名)を希望する学生がどれだけ出てくるのかは、なかなか予測が難しい状況です。プログラムを運営しながら見極めていくことになります。

 最後に、文科省への申請にあたってはHoT-JeTの皆さまに研修会の場で、あるいは個人的にいろいろとアドバイスをいただきました。この場をお借りして御礼申し上げます。

(文学部英文学科 柳町智治)
 

 

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